死者の魂が妖怪化した船幽霊

こんにちは、存在しないモノを描いている妖怪、洋伯(よはく)です。
私は普段、存在しないモノをキャラクター化したり見たことのない世界を創ったりしています。
今回は恐ろしい妖怪船幽霊について調べてみました。
この妖怪船幽霊は主に海に現れると言われていますが、日本各地に伝説や物語があります。
海から手だけが出てくる話、海面に人が立っている話、川に妖怪が出現する話など様々です。

どうやら特定の妖怪を指す名前ではないようですが、一つ共通していることがあります。
それはこの妖怪が、水難事故で人が死んだ場所に現れ、生きている人間を自分たちと同じように殺して仲間にしようとする点です。
よく怪談などで聞く、海水浴場などで溺れ死んだ人の霊が足を引っ張るというのは、この船幽霊になる前の悪霊の状態なのでしょうか。

妖怪船幽霊の話
鳥山石燕先生の「今昔画図続百鬼」という本に、次のような話が載っています。
”海上の風が強く波が高くなる時などに、波間に底がない柄杓で水を汲んでいる沢山の人の様なものが現れることがあるといいます。”
”これは船幽霊(ふなゆうれい)と呼ばれる妖怪です。”
”船の舵を失った行方不明者の魂なのだろうか。”


この”底が抜けた柄杓”という意味が分からなかったので調べてみましたが、実は船幽霊の民間伝承が由来のようです。
民間伝承によると、海で柄杓を求める妖怪(船幽霊)が現れた時に、その妖怪に柄杓を渡してしまうと、その柄杓で船を水でいっぱいにして沈められてしまうのだといいます。
なのでその妖怪には底のない柄杓を渡した方が良いと言い伝えられているのです。
今昔画図続百鬼の中の船幽霊が持っている底のない柄杓は、当時この民間伝承に出てくる妖怪に襲われた人たちから貰ったものなのでしょうか。
このような船幽霊の話が伝わっているところでは、海に出るときに底のない柄杓を持っていくといいます。

船幽霊は物分かりが良いらしく、底のない柄杓では水を汲めないと知ると、あきらめて去っていくのだと言います。
様々な種類の船幽霊

妖怪の船幽霊といえば前述の柄杓で水を注ぐ話が有名ですが、村上賢司著『妖怪事典』によると、この妖怪には様々なタイプの話があるようです。
- 妖怪が船に乗って現れ柄杓を欲しがる。
- 幽霊船が現れて、それを避けると座礁や事故が起きてしまう。
- 海上に現れた船幽霊が船に乗ってきたり、声をかけてきたりする。
- 漕いでも漕いでも船は進まず、人の声など海原で聞こえるはずのない音が聞こえてくる。
- 不思議な光が浮かんでいる。
村上氏の見解によれば、船幽霊の話はすべて上記のどれかに当てはまる、あるいはそれらのミックス、あるいは同種の話であるといいます。
いずれにしてもこの船幽霊と呼ばれる類の妖怪は、基本的に生きている人間を殺して自分の仲間に引き入れようとしているということです。
船幽霊という名前が示すように、水難事故で亡くなった人の幽霊が妖怪になったものなのでしょう。

妖怪や幽霊は目に見えないので信じている人も少ないですが、この船幽霊のように様々な場所で同じような妖怪の話が語られていることを考えると、やはり実在するのでしょうか。
まとめ
妖怪船幽霊とは、水難事故など水関連の事故で死んでしまった人たちの霊が妖怪化したものです。
様々な種類の船幽霊がいるようですが、有名なものとしては海上で柄杓を求める人達が現れて、柄杓をわたすとその柄杓で水を船に入れて沈没させてしまうと言います。
他には船に乗りこんできたり、声だけだったり、進行方向に現れて避けたら座礁してしまったりなど、様々ですが基本的には水難事故を起こさせて仲間に引き入れようとします。
首吊り自殺をした霊が妖怪化した縊れ鬼という妖怪がいますが、それと同じ理由で人の命を狙っているのでしょうか。

水辺で遊ぶときは気をつけようと思います。
記事/イラスト: 洋伯(よはく)



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