一つ目小僧 (妖怪事典)

Yokai Hitotsumekozo 妖怪事典
妖怪 一つ目小僧
ヨハク
ヨハク

こんにちは。妖怪画家のヨハクです!

私は妖怪や和のモチーフの絵やイラストを描いています。

今回はみんなが知っているけど知らない、一つ目小僧という妖怪について調べてみました。

この妖怪一つ目小僧は、道や家の中に出現するようです。

一つ目小僧は一つ目の少年のような妖怪ですが、地方によっては一つ目の大きな妖怪(大入道)を指すこともあるようです。

一つ目小僧は非常に有名な妖怪で、日本では広く知られていますが詳しい話を知っている人は少ないのではないでしょうか。

妖怪一つ目小僧 妖怪画家ヨハク

平秩東作へづつとうさく 著、 『怪談老かいだんろうつえ』という本にこの妖怪一つ目小僧の話が載っています。

妖怪一つ目小僧の話

東京に喜右衛門きえもんという養鶏家がいました。

ある日、麻布に住む侍にうずらを売りましたが、その侍は持ち金がないので、喜右衛門に屋敷まで取りに来てくれるように頼みました。

喜右衛門はたまたま麻布で別の用事があったので、売ったウズラを持ってその男の家に一緒に行くことにしました。

男の家に着くと、男は「ここで待っていてくれ。」

と言ってうずらを家の裏手に持っていきました。

喜右衛門は、部屋の雨漏りの跡や破れたふすま、ゆがんだ敷居しきい鴨居かもいなどを見て、

”こんなボロ屋に住んでいて、うずらの代金は大丈夫だろうか”

と不安になりながら煙草を吸って男が戻ってくるのを待っていました。

すると喜右衛門が知らないうちに、10歳くらいの小さな男の子が部屋に入ってきて部屋の掛け軸に悪戯いたずらをしていました。

掛け軸に悪戯をする一つ目小僧

掛け軸を上に巻きあげては、手を放して下に落としたり、また巻き上げたりを繰り返している。

喜右衛門は掛け軸が痛んでそれを自分のせいにされたくなかったので少年に、

“そんな悪戯はやめなさい、掛け軸が痛んでしまうではないか”と言うと、少年は振り返って言った。

「黙っていよ」と。

少年の顔には一つの目しかなく、喜右衛門は悲鳴をあげて倒れてしまいました。

その悲鳴を聞いた屋敷の使用人は倒れた喜右衛門を駕籠かごに乗せて彼の家に運び、その後うずらの代金を支払いに行きました。

使用人はたびたび訪れて体調を気遣ってくれましが、その使用人が言うには今年の春にも同じような怪異があったらしいとのこと。

小さな子供が家に上がってきてお菓子が入っている棚を物色していたので、女主人が”何者か”と聞くと、”黙っていよ”とだけ言ってどこかへ行ってしまったのだという。

その屋敷では年に四、五回ほどこういったことがあるようです。

この妖怪は悪戯が好きなようだが悪いことはしない。しかし世間体もあるので、この一つ目の妖怪のことを他の人に言わないようにと使用人は喜右衛門に頼みました。

ヨハク
ヨハク

最近の都市伝説にある人面犬も、見ていると”何見てんだよ”と言うところからなんか似ている気がします。

道端で遭遇する一つ目小僧

村上健司 著『妖怪事典』によると、妖怪一つ目小僧が上記の話のように特定の家に現れることは稀で、街中で遭遇する話が多いといいます。

福島県会津若松市には、次のような話があるようです。

ある女が少年に「お金が欲しいか」と聞かれ、「欲しい」と答えると、少年が「これか」と言う。

女性が少年の顔を見ると耳も鼻もない一つ目の少年が自分を見つめていて、それを見た女は気を失ったという。

これに似た妖怪の話が日本全国にたくさんあるようですが、どの話にも共通しているのは一つ目小僧は「特に何もしない」ということです。

一つ目小僧はとても平和な妖怪なのでしょう。

ヨハク
ヨハク

私事で恐縮ではございますが、一つ目小僧の絵を描いていたところ、香港のソフビメーカーのPlanet XさんとYokai Art Seriesとして妖怪のフィギュアをリリースすることとなりました。

Planet Xさんはウルトラマンの円谷プロなどの有名な会社とコラボしてソフビをリリースしている会社さんなのでクオリティ抜群です。

Yohaku x Planet X コラボレーション “妖怪アートシリーズ” 第一弾一つ目小僧

豆腐小僧

この妖怪一つ目小僧については、もう一つ面白い話があります。

一つ目小僧は絵本や玩具によく描かれ、カルタの絵柄としても描かれていました。

その中で豆腐を持った一つ目小僧がよく描かれていたのですが、

それは豆腐が大豆だいずつまり豆粒から出来ているが、豆粒と魔滅まめつを掛けたダジャレなのだという。

江戸時代にはこういった言葉遊びが流行っていたようです。

そしてその言葉遊びからなのか、一つ目小僧の好物が豆腐であるという設定や、豆腐を持った一つ目小僧のイラストから”豆腐小僧”という新しい妖怪が誕生したようです。

まとめ

妖怪一つ目小僧は全国に似たような話がある妖怪で、主に道端や人家に出現すると言われています。

道端では急に話かけてきて見ると一つ目であったり、家に出る場合は勝手に入ってきて悪戯をしていて注意をすると、振り返って一つ目の子供が”黙っていよ”と言うようです。

その正体や何をするかは謎ですが、全国の話で共通しているのが”特に悪さはしない”という点です。

豆腐小僧という豆腐を持った小僧の妖怪がいますが、それは当初江戸時代に子供用のおもちゃなどに描かれた一つ目小僧が豆腐を持ったイラストから生まれた妖怪らしいです。

なぜ豆腐かと言うと、豆腐は大豆、つまり豆粒からできていて”魔滅”と掛けた洒落になっているからです。

妖怪イラスト、ブログ / 妖怪画家ヨハク (YOHAKU Yokai Art)

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