こんにちは。妖怪画家のヨハクです!
私は妖怪や和のモチーフの絵やイラストを描いています。
今回は提灯が化けた妖怪、提灯お化けについて調べてみました。
提灯お化けというと河童と同じように何となく思い浮かびますが、詳しく知らない妖怪です。
提灯ちょうちんとは
まずは提灯とは、昔電気が無かった時代に使われていた灯りの一種で主に暗くなってから出かける用のものでした。
細い割り竹を骨にして周りに紙などを貼って中の蝋燭の火が消えないようにしたものです。
提灯の提と言う字は手に下げて持つ、とか持ち出すという意味があります。
つまり持ち出し用の灯りという事です。
今でもお盆などで見かける事もありますが、昔はこれで外を歩いていたというのでとても暗そうです。
実際に見たことがある人は分かると思いますが、蝋燭の火はライターの火とほぼ変わらないくらいしかありません。 無いよりはマシかとは思いますが、外を歩くには危なそうです。
妖怪提灯お化けについて
実は残念なことに、この妖怪提灯お化けについては具体的な話の記述は無いようで、絵巻物にこの妖怪の絵だけが描かれているだけのようです。
しかし民間伝承にある話なのでしょうか、水木しげる先生の妖怪大全には提灯お化けに関して次のような話がありました。
ある夜、一人の男が急用で隣の村に行くことになった。
昔は現代のように街灯はなく、普通暗くなってから外出することはなかった。
提灯を持って出かけるのが唯一の方法であり、その夜この男もそうした。
この男は提灯と月明かりを頼りに歩き始めた。
その途中、突然雲が月を覆い、風が吹き始めた。
男は恐ろしくなってきましたが、さらに提灯が勝手に激しく揺れ始めたのだという。
提灯は更に大きく揺れ始めて羽が生えたかと思うと男の周りを飛び始める。
気付くと提灯には目や口があり、さらには笑い始めたという。
最終的に提灯は飛び去ってしまったらしい。
以上が水木先生の妖怪大全にある話ですが、人に長く使われた道具などは時に魂を得て妖怪になるとされています。
このようにモノから妖怪になったものを付喪神と言いますが、この妖怪提灯お化けも付喪神の一種なのでしょうか。
どうやら怪火や鬼火など不思議な発光現象などの話はいくつかあるようですが、提灯そのものが妖怪化したというはこの妖怪、提灯お化けだけのようです。
不思議な発光現象で言うと東京本所七不思議の一つに”送り提灯”というものがあります。
詳しくは”提灯小僧”(妖怪事典)のページに詳細あり。
昔の照明と妖怪
また昔の照明と言えば提灯以外にも街灯代わりの”灯籠”や室内の灯り用の”行灯”などがありました。
照明という事なので、個人的には夜の怪しい雰囲気を醸し出していた重要な要素だと思っています。
その証拠とまでは言いませんが、灯籠も化けたようで化け灯籠という妖怪がいたり、行灯に関しては青行灯という肝試しに起こる怪異を妖怪としたものなどがあります。
基本的には油に紐をつけた灯芯を使ったり、蝋燭を使った照明だったのでとても暗かったはずです。
さらにはゆらゆらと光が揺れるので、現代では”癒し”として蝋燭を楽しんだりしていますが当時は怪しい妖怪的な雰囲気を醸し出しているアイテムだったのではないかと思います。
以前停電したときに蝋燭を使ってみましたが、怪しい雰囲気マックスで不安感が高まった記憶があります。
まとめ
妖怪提灯お化けとは、提灯が化けた付喪神タイプの妖怪だと思われますが、実は文献などには詳しく記述のない絵巻物などに絵だけで確認されている妖怪のようです。
私の個人的な化け提灯のイメージとしては、提灯に一つ目で下をだしている妖怪を想像していましたが、どうやら江戸時代の子供のおもちゃ用などとしてうまれたデザイン先行の妖怪だという印象でした。
妖怪化け提灯の話は民間伝承程度にはあるようで、水木しげる先生の妖怪大全には急に羽が生えて目や口ができて笑いながら飛び立ってしまう化け提灯の話があります。
この話には何の因果も化け提灯の正体がわかるような描写もないのでかなり謎の多い妖怪です。
また提灯自体が妖怪化したものはこの提灯お化けだけらしいですが、提灯や照明関係の妖怪といえば提灯小僧や、東京本所七不思議の送り提灯、化け灯籠、青行灯など様々な妖怪がいるようです。
個人的には照明が小さい火によるものだったので、昔の薄暗い照明は妖怪文化の発展に一役買っていると思っています。
現代では暗い場所を探すほうが難しいのもあって、妖怪がいなくなった等と言われることが増えたのだと思いますが、個人的に他に見えなくなったものが沢山あってそこには沢山妖怪がいると思います。
妖怪イラスト / 妖怪画家ヨハク (YOHAKU Yokai Art)
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