蝦蟇(妖怪事典)

妖怪事典
妖怪蝦蟇
ヨハク
ヨハク

こんにちは。妖怪画家のヨハクです!

私は妖怪や和のモチーフの絵やイラストを描いています。

今回はかえるの妖怪蝦蟇がまについて調べてみました。

“蝦蟇(がま)” というと私は漫画のNARUTOで主人公ナルトや師匠の自来也が口寄せで呼び寄せる大きい蝦蟇を思い浮かべます。

この妖怪蝦蟇がまとは、妖力を持ったヒキガエルの事です。

日本では古くからタヌキやキツネは妖力を持ち人化をかすものとされていて、この妖怪蝦蟇も同じように捉えられているようです。

よく和のものを題材とした漫画やアニメ、イラストなどによく登場するので見たことがある人も多いと思います。

作品によっては喋ったり、火を吹いたり、大きかったり、ベロを遠くへ伸ばしたりなど普通のヒキガエルではありえない描き方をされていますが実際はどうなのでしょうか。

背中をこすり合わせる蛙 / 妖怪画家ヨハク

妖怪蝦蟇は生気を吸う

蝦蟇にまつわる話は様々あるようですが、多くの話は以下のような話が多いようです。

ある古い家に住む男が原因不明の病気にかかり、日に日に病状が悪化していたと言います。

ある日、その男は動物が家の下に入って出てこないことに気がつきました。
猫や鳥が家の下に入って出てこないのです。
(日本は湿度が高いので、伝統的な日本の家屋の下には空間がありえんしたという)

男は不審に思って人を呼びました。

皆で家の床を開けて家の下を調べると、なんとそこには大きな蝦蟇がいて、その周りには毛や古い骨が散らばっていたのでした。

皆はこの蝦蟇が動物を食べた犯人に違いないと思い、全員でこの蝦蟇を打ち殺して床下をきれいにしたところ男の病状は日に日に快方に向かったといいます。

ヨハク
ヨハク

蝦蟇がま(ヒキガエル)は舌を高速で出して獲物を一瞬で捕食してしまうことから”生気を吸う”と思われていたらしいです。

この家の男も自分の生気を床下の蝦蟇に吸われたと思ったのでしょうか。

どうやらこの妖怪蝦蟇にまつわる話は、家などに蝦蟇がいたせいで体調を崩す話が多いようです。
上の話は人間の話だが、厩舎(うまや)に蝦蟇が住んでいて馬が病気になるとも言われているようなので、蝦蟇は妖力を持っていて、人間に限らず生き物を病気にすると考えられていたようです。

ヨハク
ヨハク

個人的にカエルは好きなのですが、昔の人は気持ち悪いと思っていたのでしょうか。

家の下に居られただけで体調を崩すというのは妖怪蝦蟇は夜な夜な家に上がってきて生気を吸っていたのでしょうか。

蝦蟇は人に取り憑く

むかしから日本では狐は人に取り憑くとされていて、取り憑かれた状態を”狐憑きつねつき”と言っていましたが、どうやら蝦蟇も人間に取り憑くことがあるようです。


岩手県のある地域では狐憑きのように何かに取り憑かれて錯乱しているような人は蝦蟇に取り憑かれていて、その取り憑かれた状態を”蝦蟇憑がまつき”と呼んでいる地域があったそうです。

また同じ地域では妖怪蝦蟇に取り憑かれなくとも、蝦蟇を殺した晩に布団に蝦蟇が入ってくるという心霊現象も蝦蟇憑きと呼んでいたそうです。

ヨハク
ヨハク

流石に布団に蝦蟇が入ってくるのは嫌ですね~。

これは完全に蝦蟇に取り憑かれています。

どうやら蝦蟇は執念深いようです。

蝦蟇は火を起こす

アニメ等の影響か蝦蟇が火を吹くイメージがあったのですが、実際に文献などには火を吹くという記述はないようです。

妖怪蝦蟇 アクリルガッシュ 妖怪画家ヨハク

蝦蟇の油が提灯や行灯等の燃料に使われていたことから火に関連した妖怪のイメージがついたのかもしれないですが、これも植物のガマ(水辺に生えていて先にソーセージみたいのがくっついている植物)の油であったり馬油(馬の油)であったと諸説あるので詳しいことは分かりませんでした。

しかし火を吹いたという記述のある文献は無いようですが、火を起こす蝦蟇の話は岩手県のある地域に伝わっているようです。

ヨハク
ヨハク

妖怪の話を調べていくと、岩手県が沢山出てきます。柳田国男先生の遠野物語の遠野も岩手です。

妖怪好きにはたまらない夢の土地遠野です。

その伝わっている話によると、ある供養塔くようとうから毎夜のように火柱が上がっていたといいます。

そこで不思議に思ったある男が、馬の爪を切る爪切りでその火柱を切るとあっけなくその火柱は消えてしまいました。

男が翌日その供養塔に様子を見に行くと、供養塔の横には年を取った古い蝦蟇が頭を切られて死んでいるのを発見しました。

ヨハク
ヨハク

妖怪の話はこのようにオチとかが無いものも多いですが、この話から分かることは妖怪蝦蟇は火を吹くかどうかは分かりませんが、火を起こしたり操ったりできるということは分かりました。

まとめ

妖怪蝦蟇はヒキガエルを妖怪視したもので、タヌキやキツネと同じような立ち位置だったのでしょう。

蝦蟇が人を化かしたと思われていた話(小豆洗い / 妖怪事典)

なのでそれらの妖怪視された動物のように人に取り憑くことがあり、それを蝦蟇憑きと言います。

また家の縁の下に住み着いてその家の人の生気を吸うのか、はたまた呪ってしまうのかは分かりませんが、近くにいる人間や動物を弱らせてしまうようです。(ヒキガエルは目の前の獲物を高速で吸い込むので生気を吸うを考えられていたようです。)

蝦蟇の近くに動物を食べた残骸があったという話から割と大きい動物を食べていたのでしょうか。

また蝦蟇は時には火をおこし火柱を出すという話もあるようですが、アニメのように火を吐くという記述は様々な本や文献を見ても見当たりませんでした。

ヨハク
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個人的には蛙が好きなので妖怪蝦蟇がいたら是非飼育してみたいですが、生気を吸われるのはちょっと困ります。


妖怪イラスト、ブログ / 妖怪画家ヨハク (YOHAKU Yokai Art)

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