神社姫(妖怪事典)

Jinjyahime_colored 妖怪事典
妖怪神社姫 / 妖怪画家ヨハク

結構大きい妖怪、神社姫 (じんじゃひめ)

ヨハク
ヨハク

こんにちは。妖怪画家のヨハクです!

私は妖怪や和のモチーフの絵を描いています。

今回はちょっと気持ち悪い予言妖怪、神社姫じんじゃひめについて調べてみました。

この妖怪神社姫じんじゃひめは長崎県と佐賀県の海岸に出現したという人間の女の顔をした人面魚のようであったと言います。

人面魚の時点で少し気持ち悪いですが、さらに頭には角があってその体長は二丈(約六メートル)もあったそうです。

人魚の類とされています。

六メートルもあるということは平均的なホオジロザメが5メートルほどなので、相当な大きさの妖怪ということになります。

ヨハクがボールペンで描いた神社姫
ヨハク
ヨハク

船に乗って海に出たことがある人なら分かるかもしれませんが、この大きさの魚がいたら滅茶苦茶怖いです。

しかも人面で角が生えてるのはやばすぎます。

個人的にはすごい苦手な見た目かもしれません。

妖怪神社姫の噂

加藤曳尾庵かとうえびあん作の随筆ずいひつ我衣わがころも』に神社姫のことが書かれています。

随筆ずいひつとは見聞きしたものや、思いついたことなどを筆に任せて書いたもの、またはそのような文体の作品のことを言います。(この場合はおそらく当時の噂や神社姫を目撃した人に聞いた体験談的な感じでしょうか。)

神社姫に関する内容は以下の通りです。

文政二年 (1819年)、4月19日、肥前国(現在の広島、長崎県)の浜辺で目撃された妖怪がいました。

その妖怪の大きさは2丈(約6メートル)もあり人面で頭には角のようなものがあったといいます。

そしてこの妖怪は見つけた者に向かって

『私は龍宮の使者、神社姫という。今年から7年間は豊作だが、虎狼痢ころり(コレラのこと)という疫病が流行る。

しかし、私を描きうつした絵を見ればその疫病から守られ、長生きすることができるだろう。』

と物々しく語ったのだといいます。

妖怪神社姫漫画
妖怪神社姫漫画 / 妖怪画家ヨハク
ヨハク
ヨハク

これはコロナ騒動で有名になった妖怪 アマビエの話にそっくりですが、ほかにも神社姫に似た妖怪がいます。

妖怪アマビエについて見る(妖怪事典)

商売に使われた妖怪たち

神社姫に似た妖怪 “姫魚(ひめうお)” は神社姫と同じく文政2年に現れたようです。

体長が1丈3尺(4メートル)ほどの金色の魚のような妖怪で、顔は人間の女性の様で角のようなものが生えていて、背中には宝石が3つ埋まっているといいます。

ヨハク
ヨハク

とても神社姫に似ている妖怪ですし、縁起の良い妖怪である白澤はくたくは背中に左右3つずつ目があり角もありますが、こちらにも若干似ている気がします。

兎に角、同じ年に角の生えている巨大な人面の魚が疫病の流行を予言をして、自分の絵を飾ることによって疫病から逃れられる、という触れ込みがあったことは確かなようです。

JInjyahime-seller
昔なのでみんな信じて買っていたのだろうか / ボールペンイラスト / 妖怪画家ヨハク

国立歴史民俗博物館のホームページにも興味深い記事があって、実は当時アマビエのようにそれら予言獣の絵を使って人々の不安につけこみ、絵を販売するということが横行していたようです。記事リンク

当時は夏場に疫病や食中毒が発生していました。

その時期に予言獣と称した妖怪の絵を飾ることによって、それらを予防できるという触れ込みで売り歩いているものがいたので規制をしたとのことです。

私は最初、神社姫は妖怪なのに名前に神社が入っている意味が分かりませんでしたが、この話を聞くと、ご利益感を出すためだったのではないかと思ってしまいます。

ヨハク
ヨハク

きっと姫魚の背中に宝石が埋まっているのも同じような感じなのでしょう。

日本各地には、豊作と疫病の流行を予言する妖怪の話があり、いずれも「その妖怪を描きうつした絵を見ると疫病を免れる」というものです。

妖怪を描いた絵を見るだけで疫病から免れるというのは、どういう話が根拠になっているのだろうと不思議に思っていましたが、それを販売することで稼いでいた人たちがいたとは考えてもみませんでした。

このようなご利益商売は中国から白澤や獏といった縁起の良い妖怪が来た時から始まったのではないかと私は思います。

妖怪白澤について見る(妖怪事典)

妖怪獏について見る (妖怪事典)

ヨハク
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人々の不安をあおってビジネスをするのは今も昔も変わらないようです。

まとめ

文政二年 (1819年)の4月19日に肥前国(現在の広島、長崎県)の浜辺で6メートルもある巨大な人面の魚が目撃されました。

頭には角のようなものがあり、自らを龍宮の遣いの神社姫であると名乗り今年から7年の豊作とコレラの流行を予言をしたといいます。

また神社姫によれば神社姫の絵を飾れば疫病の難から逃れられるということで当時その絵が出回っていたようです。

ヨハク
ヨハク

話はアマビエの物と酷似していますが、年代的に神社姫のほうが早いので神社姫のほうが元です。

どうやらこのような疫病の流行を予言している妖怪の絵を飾るとその難を逃れられるという触れ込みで妖怪の絵を売り歩いていた人たちが沢山いたようで規制されていたようです。

私はそういった妖怪の絵を飾ってご利益を得るといったような風習は白澤や獏といったような中国を発祥とする縁起の良い妖怪が日本に入ってきたときからなのではないかと考えています。

国立歴史民俗博物館の記事によるとこういった商売に使われたような妖怪はアマビエやアマビコや神社姫など以外にも様々いたようで、そういった人たちによって創作された妖怪もいると思われます。

ヨハク
ヨハク

兎にも角にも、昔商売に使われたとしても現代でコロナが流行った際に希望の象徴として用いられたことはとても素晴らしいと思いました。

妖怪イラスト、記事 / 妖怪画家ヨハク (YOHAKU Yokai Art)

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