アマビエ(妖怪事典)

妖怪手帖
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コロナウイルスの蔓延で有名になった妖怪アマビエ

洋伯(よはく)
洋伯(よはく)

こんにちは、存在しないモノを描いている妖怪、洋伯(よはく)です。

私は普段、存在しないモノをキャラクター化したり見たことのない世界を創ったりしています。

今回は有名な妖怪アマビエについて調べてみました。

その姿や描いた絵を見ただけで疫病の脅威から逃れることが出来るという妖怪アマビエ。

今まで妖怪に興味がなかった人も携帯の待ち受けや部屋に飾っていたり、スーパーやお店の軒先などでも見かけるまでになっていたのは妖怪ファンにとってはとても感慨深いです。

Amabie Colored
ボールペン、着彩Clip Studio Paint / 洋伯(よはく)

妖怪の画像が沢山拡散されるということが想像できなかったので衝撃的だったのを覚えています。

アマビエが疫病から守ってくれるということだけは知っている人も多いと思いますが、実際はどういう妖怪なのでしょうか。

昔新聞に載っていたアマビエ

洋伯(よはく)
洋伯(よはく)

驚くことに1846年4月中旬と記された瓦版(かわらばん)、つまり当時の新聞にこの妖怪”アマビエ”の記事が掲載されていたといいます。

そのアマビエが載ったとされる記事の内容は以下の通りです。

肥後国(現在の熊本県)の海中に毎晩光るものがあるので、その土地の役人が海に見に行ってみました。

役人が光っているものを見ようと海を覗き込むと、怪しい妖怪が現れて次のように言ったといいます。

“私はアマビエという。 今年から六年間は豊作となるが、もし流行病が流行った場合は人々に私の写し(描きうつしたもの)を見せよ。”

アマビエのボールペン画 洋伯(よはく) 文字、吹き出しはデジタルで後入れ

このような予言めいたことを言った後にこの妖怪アマビエは海中に戻っていったといいます。

その瓦版には役人が描きうつしたとされる妖怪アマビエの姿が描かれています。(下)

当時の瓦版 / 『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵)

その姿はヒレが三本ある人魚のようですが、手がなく、頭には長い髪の毛がありクチバシのようなものがあります。

耳のあたりにはヒレか鱗のようなものがあり、あとは目が四角形のような感じになっています。

海が光っていたという記述から光輝くアマビエを描いていたアーティストもいましたが、実際にアマビエが光っているのか海を光らせる力があるのかどうかは誰も知りません。

洋伯(よはく)
洋伯(よはく)

個人的には後光のような感じなのかな、と思います。

amabie_manga
ボールペン落書き漫画 洋伯(よはく)

アマビエとアマビコ

これが様々な本に記述のあるざっくりとした妖怪アマビエの話なのですが、湯本豪一さんの『明治妖怪新聞』によるとアマビコという違う妖怪を描きうつす際に字を間違えて出来たという説もあるようです。

確かにエとコは似ています。(昔はカタカナ表記でした)

またアマビコは人面で毛むくじゃらの三本足の妖怪なのですが、アマビコはアザラシを見た人が描いたものではないのかという説があります。

確かにアザラシは毛が生えていてしっぽとヒレをあわせると三本です。

昔は情報がなかったので、動物を妖怪として紹介していてもおかしくはないでしょう。

アマビエに似た予言妖怪とその起源

アマビエのように海に出現して疫病の予言と自身の絵を見せるという予防策を告げるという点で非常にアマビエに似ている”神社姫”という妖怪が同じ肥後国(熊本ではなく現在の長崎、佐賀県)の浜辺で目撃されたといいます。

洋伯(よはく)
洋伯(よはく)

ちなみに神社姫が目撃されたというのが1819年なので一世代(約30年)くらい神社姫の方が先です。

Jinjyahime_colored
妖怪神社姫 / 洋伯(よはく)

この神社姫という妖怪がアマビエと違うのは、可角の生えた人面の魚という変な見た目をしていることと、約6メートルと大きいこと、そして予言内容です。

妖怪神社姫について見る(妖怪事典)

また九州から遠く離れた富山県の山中にも同じようなことを言う人面獣人のクダべという妖怪もいるようです。

これらの妖怪の起源は発言内容などから、おそらく同じ妖怪なのだろうと推測ができますが、調べると面白い事実が分かってきました。

洋伯(よはく)
洋伯(よはく)

国立歴史民俗博物館のホームページのとある記事によると、疫病や食中毒の流行りやすい夏頃になると正体不明の妖怪を描いた絵を持って売り歩いていた者たちがいたそうです。

謎の予言獣が豊作と疫病の流行を予言して、その予言獣を描きうつした絵を飾ると難から逃れることができるという触れ込みで商売をするのが横行していたらしく規制をしたとされています。

記事のリンク

個人的にはこういった予言獣ビジネスは白澤はくたくのような縁起の良い妖怪が日本に入ってきた時に始まったのではないかと思っています。

白澤はくたくという妖怪は中国の物知りな妖怪で、偉大な王が国を統治している時に山中に現れて様々な災いとその対処法を教えてくれるというのだが、縁起物として白澤の絵を飾る習慣があったようです。

Yokai Hakutaku Colored
妖怪白澤 / 洋伯(よはく)

妖怪白澤(はくたく)について見る (妖怪事典)

洋伯(よはく)
洋伯(よはく)

1.流れ的には中国から縁起の良い妖怪を飾る習慣が輸入される

2.夏場に流行る食中毒や疫病の流行などの不安に乗じて同じような妖怪で商売

3.時代を超えて妖怪デザインが多様化した

という感じでしょうか。

まとめ

 現在の熊本県のとある海で夜間海を光らせるという妖怪アマビエは、海中から浮かびあがり豊作や疫病の流行を予言し、自身の絵を人々に見せることによってその疫病の感染を予防できるなどと言って海中に戻っていくという謎の多い妖怪です。

その見た目は三本足の魚の様な見た目で、長い髪とくちばし、そして四角い目が特徴。

またアマビエは毛むくじゃらの人面の三本足の海に出現する妖怪アマビコの字を間違えたものであるという説があり、そのアマビコはアザラシをしらない昔の人が海で目撃して妖怪だと勘違いしたという可能性がある。

しかしそもそもそういった予言獣の類の妖怪は、夏場の食中毒や伝染病の流行る夏頃に人々の不安を利用してその絵を売って商売をしていた人達によって使われていたもののようです。

絵描きの創作なのか、本当に妖怪がいたのかは誰にも分かりません。

こういった疫病予言や妖怪の絵を飾ることによる災難の予防という話は、中国の妖怪である白澤や獏の話から派生して出来たのではないかと私は考えています。

洋伯(よはく)
洋伯(よはく)

離れた場所や地域で似たような妖怪の話があるのはとても興味深いです。

記事/イラスト: 洋伯(よはく)

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